<世界自閉症啓発デー> 〜子どもの理解とその具体的な支援〜

<世界自閉症啓発デー> 〜子どもの理解とその具体的な支援〜

 2014年度は1年を通して、親が子どもの障害を理解し、希望をもって具体的に子育てができるようにと、トモニ療育センターの河島淳子先生をお招きして 全5回の講座を開きました。
 今回は、その最終回。
高橋知恵子先生もおいで下さり、具体的な算数指導についてお話下さいました。
自閉症の子どものための 幼児期からの教育』 河島淳子先生 高橋知恵子先生
1、質の高い教育を
認知の障害がある自閉症の子どもには、質の高い教育が必要である。
幼児期は学齢期である。
発達の目覚ましい幼児後期はもっとも大切な学齢期である。
様子をみていたり、遊びや身辺自立の取り組みだけでは、自閉症スペクトラム障害の子どもは、着席できて学べる・コミュニケーションできる・指示が理解でき、指示がきける・集団行動ができるようにはならない。
3歳で始める課題学習は決して早期ではない。
発達障害児は、長い年月をかけて発達していく。困難な学習障害と行動障害を克服していける。
自閉症児(自閉症スペクトラム児)は、悟ってしまえば、加速して学べていける。まるでトンネル工事をし、バイパス道路を建設しているようだった。
通行できるようになると、視野は広がり、多くのものをはっきりわかるようになった。扇形に理解力は増していった。
彼らは極めて困難な障害をもっているが、しかし、真剣に向き合い、諦めないで教育し続けるとき、道が開けてくる。
質の高い教育と支援が、生涯にわたって、一貫性をもって、適切に、継続して行われることを切望する。
知識ある愛をもって、行き届いて向き合って行きたい。スピリチュアル・ライフを大切にして、信頼し、希望をもって、愛をもって、幸せを求めて共に生きていきたい。
母が変われば子どもは必ず変わる。
先生が変われば生徒が必ず変わる。
職員が変われば利用者は必ず変わる。
支援する側の人たちに、広い知識、深い洞察力、人間理解、人生観、哲学があれば、彼らも人として精神的に豊かに自由に幸せに生きていくことができる。
2、生きる力となる課題学習
 例え言葉がなくても、耳が聞こえなくても、言葉の理解が難しくても、手を添えて操作させてあげると、理解できていく教材と教え方。
「分類する力」と「マッチングする力」があれば教育できる。
しかし、それら力が育っていなかったとしても、手を添えてさせてあげることによって、分類する力・マッチングする力も育てていくことができる。
 2歳から無理なく取り組むことができる。
・・・として、1〜100の数字並べ、1−30タイル並べ、100タイル並べ、足し算九九などを丁寧に教えて下さいました。
後半は座談会。
 どの親からも、取り組み始めて子どもが変わったという感想が寄せられ、また、「字が書けない」「数字の見分けがつかない」「タイルが読み取れない」「ぐずぐず言ってやろうとしない」という質問には、先生方から笑いあり涙ありの具体的なお答えを頂きました。
 どの子も教育できる!!!と希望を沢山頂いた最終講義でした。
 放課後デイの職員方も、早速100並べを子ども達と始めたそうです。
 トモニ療育センターの河島先生、高橋先生、保護者のみなさま、施設職員のみなさま、1年間本当に有難うございました。
 子ども達に対する適切な理解と教育が広がっていくことを心から願い、これからも活動していきます。
今後ともよろしくお願いいたします。

徳島県自閉症協会 堀内宏美