徳島県自閉症協会主催 「自閉症スペクトラム児の 幼児期からの教育」連続5回講座

徳島県自閉症協会主催
自閉症スペクトラム児の 幼児期からの教育」連続5回講座

講師:トモニ療育センター所長 河島淳子先生
 
 第4回 1月24日の講座が終わりました。
少し遅れましたが、内容をご紹介したいと思います。

 第3回は、行動障害についてどのように理解し、向き合っていくか。
入所施設に入っている青年たちと職員たちが料理に取り組み始め、お互いに理解し、心豊かに変わっていった例をあげながら、今まさに幼児期の子ども達とどう向き合っていくかお話下さいました。
 「共感を持って、具体的に理解し、心を育てていこう」「一緒に山を歩き、一緒に料理する。家庭の中には豊かに生きる要素が沢山ある。」「問題行動に向き合っていても問題は解決しない。子どもの分かり辛さに寄り添い、発達を促し育てていく過程で、自然と問題となる行動が消えていく。」「遠き所を近く見。近き所を遠く見る。親があさがおの支柱のように、一貫性を持って将来を見据えながら、譲らず、決意を持って向き合う時、子どもはついてくる。」
 そして、早朝マラソンと料理が、どれほど子どもと家族を豊かに導いてくれるかを、実際の母親たちのアンケートの答えからご紹介下さいました。

 第4回は、<言い聞かせられない>・・・についてお話が始まりました。
家庭の中で、子どもの言動に振り回され、しつけもできず、外にも連れていけない、子どもの暴言暴力に困っているという親たちの悩みの数々に答えてのお話でした。
 「言葉がある子どもに対しては、親は何とか説得しようとして、言い聞かせようとして、言葉でやり取りし、結局は叱りながらも、子どもの言い分を通してしまっている。それでは、子どもには親の言葉の重みなど伝わらない。
 言葉ではない。決意して向き合う時、その決意が子どもに伝わり、子どもは動き始める。」

 <豊かに自由に生きていって欲しい。そのためには、親が知識を得ること。家庭療育の充実が欠かせない。>

 「子ども達が自分で欲しい買い物ができ、時計が分かって電車やバスに乗れる。一人で行動できる、という自由さ。地域の中で、少しでも自由に生きていって欲しい。
 しかし、多くの子ども達は(健常児も)思春期頃になると家でパソコンやゲームをし、一層 親の指示が通らなくなる。親が関われなくなる。でも健常児は社会に出て、自ら学んでいくことができる。でも、自閉症児は自分では学んでいけない。

 家で指示が通り、きちんと生活していける基盤ができていると、思春期でも、学ばせ、社会性をつけていくことができる。
 また、障害が重いと、時計や数を学ばせてくれるところがない。親が教えるしかない。親の指示が通ると、家庭で教えていくことができる。
 私(河島先生)は、白い目で見られながらも「指示が通る」よう、指示を通させてきた。指示が通る、というのは社会性の第一歩。そして、指示が通るというだけでなく、喜んで指示が通るようにまでしてきた。心を育ててきた。

 その指示を聞かせる最適の取り組みが『数字100並べ』。課題学習である。
 しかも、その100は1000に広がり、お金や時計の学習へと広がっていく。
どんなに重度であっても、私達の常識であるお金や時計を分かるように導いてあげたい。

 そして、その課題学習は、たんに勉強ができるようにというのではなく、トモニの教科書にもあるように「心を育てる」育児と教育である。
親が子どもに課題を教えるのは、勉強だけを教えているのではない。
一緒に努力し、喜びを感じる、そういう心を育てている。教材を使いながら心を育てている。生きる力をつけながら問題行動を改善していく。
課題学習・教材は、ともに喜びを見出していく道具である。」

と話して下さいました。
「そして、その家庭療育があって、初めて子どもは育つことができる。
どこかに通えば良くなるというものではない。親が「愛ある知識」を得て、行き届いて子どもを育てられる時、子どもの可能性は信じられない広がりを見せる。」
と家庭療育の大切さと必要性を教えて下さいました。

参加されたみなさま、ほぼ全員の方がアンケートに「非常に良かった」と〇をされ、元気になって帰っていかれました。私もグン!と背中を押して頂きました。

 具体的な希望と方針が見えた時、どんなに大変なことでも、私達親は大変さを感じません。むしろ喜びをもって子どもに向き合えます。
 本当に有難うございました。

次回は、具体的な生きる力をつける算数指導についてお話下さいます。楽しみです。