徳島県福祉課陳情のご報告について

徳島県福祉課陳情のご報告について

2014年10月31日(金) みなと高等学園にて、徳島県障害福祉課への要望を行いました。

平成26年10月31日


徳 島 県 知 事 
飯 泉 嘉 門  殿


徳島県自閉症協会
            会長 堀内 宏美

要 望 書

「いけるよ!徳島・行動計画」平成26年度版の中の「障がい者活き活きとくしまづくり」において、2025年頃の「目指すべき将来像」として「障がい者、高齢者の日常生活の質や社会参加は大幅に向上し、介護者の負担も軽減されています。」「自分のライフスタイルを自己決定できることを、「自立」ととらえる考え方が浸透し、また、24時間対応の介護医療体制が整備され、安心して生活できます。」「高齢者や障がい者など福祉サービスを必要とする人は、多様な福祉サービスを利用しながら、住み慣れた地域で、その人らしい生活を営んでいます。(後略)」の3つが打ち出されています。この素晴らしい長期ビジョンに基づき、障害者施策の推進により一層積極的に取り組んでいただけるものと期待いたしております。つきましては、以下の事項に対して県として適切な対応をお願いします。


1 施設のあり方について
 入所及び通所施設の整備・拡充が県内各地で進められており、運営内容も家族や障害者本人のニーズに沿った支援や家族への情報の提供を幅広く行っていただいていることに心より感謝申し上げます。
しかし、グループホーム・ケアホームの定員数は、入居希望者数と比較して大幅に不足しています。希望者全員が入居できるよう、定員数を増やしてください。また、重度の自閉症児・者が地域の中で幸せに暮らすことは非常に困難です。親が元気でいる時間は限られています。この点にも十分に配慮した施設の充実をお願いいたします。

2 発達障害者手帳について
 「発達障害者手帳」制度の創設についての国への働きかけをお願いします。近年、障害者手帳を持たない発達障害者も各種の福祉サービスを受けることが可能となっておりますが、さらにきめ細やかなサービスを受けるため、また、発達障害のひとつである自閉症の特性についての認知度をさらに高め、広く社会の理解を得るためにも「発達障害者手帳」は必要不可欠な制度です。障害の困難さをご理解いただき、この制度の創設を国に働きかけてください。

3 命を守る医療の確保について
  障害の有無にかかわらず、私たちが地域で生活する大切な要件のひとつに、安心して受診することのできる医療機関が身近にあることが挙げられます。自閉症児・者は、その障害の特性から、自分の体の不調を自覚・説明すること、病院での検診・検査・治療の意味を理解することが難しいため、病院に行くこと自体が本人にも家族にも大きな負担となっています。そして、検診や検査をためらった結果、疾病の早期発見・早期治療が難しくなり、若くして命を落とす人が数多くいるのです。
かけがえのない命を守るため、県内の医療機関に、障害の特性に配慮した検診・検査・治療を行える体制を整えてください。県立病院にそのモデルとなる診療体制を率先して構築してください。


4 防災対策について
  今年、発達障がい者総合支援センターが発行した「発達障がい者 知って備える!防災ハンドブック」では、災害への備えや心構えを障害者本人、家族そして支援者向けにわかりやすくまとめていただき、大変ありがたく思っております。このハンドブックを現実に災害が起こった時、より一層役立つものとするため、自閉症・者を対象とした防災訓練や防災キャンプ等の開催をお願いします。
環境の変化が苦手な自閉症児・者は、発災時や避難時に本人も家族も大変な思いをすることが容易に想像できます。疑似体験をとおして見通しを持つことができ、それは本人と家族、そして地域の方々や支援者の心身両面の負担を減らすことにつながると考えています。



次々と起こる異常気象による災害、良くなっていると言われつつもなかなか実感することのできない現在の経済、そして、日本の将来について考えたとき、私たちは未来に対する明るい見通しを持てずにおります。
そのような状況の中で、様々な特性を持つ自閉症児・者と家族が希望を持って生き生きと暮らしていけるような施策をさらに推進していただけるよう切にお願い申し上げます。障害があっても、ひとりひとりがかけがえのない人間であり、大切な家族なのです。

今年も徳島県障がい福祉課への陳情を行いました。
切実な私たちの生の声をお届けすることができました。
ご協力頂いた会員のみなさま、そして、私達の声に真摯に向き合って下さった県福祉課のみなさま、本当に有難うございました。
施策に反映され一日も早く実現されますよう、どうかよろしくお願いいたします。
これからも、すべての人にとって少しでも住みよい社会となりますよう、心を合わせて取り組んで行きたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。

徳島県自閉症協会 会長 堀内 宏美